「自分のホームページ、なんだか表示が遅い気がする」——その直感は、想像以上に深刻な機会損失につながっているかもしれません。表示速度は訪問者の離脱率に直結するうえ、Googleの検索順位評価にも影響します。しかも厄介なことに、サイトの持ち主は自分のサイトの遅さに気づきにくいものです。この記事では、表示速度が重要な理由から、Core Web Vitalsの基本、そして専門知識がなくても取り組める7つの改善方法までを順番に解説します。
この記事はサイト改善の基本ガイドのシリーズ記事です。サイト全体の改善の考え方や優先順位の付け方は、ぜひピラー記事からご覧ください。
表示速度が遅いと何が起きるのか
表示速度の影響は「少し待たせる」程度では済みません。Googleの調査では、ページの表示に3秒以上かかるとモバイルユーザーの53%が離脱するとされています。つまり表示が遅いサイトは、コンテンツを見てもらう以前に、訪問者の半分を入口で失っている可能性があるのです。さらに、離脱の多さは検索エンジンからの評価にも間接的に影響し、広告を出している場合は広告費の無駄にも直結します。表示速度は「あらゆる施策の効果を左右する土台」と言えます。
📊 SOTEROS調査|表示速度への意識と実態(n=96)
- 自社サイトの表示速度を測定したことがない:62%
- 測定した事業者のうち「想像より遅かった」と回答:57%
- 速度改善後に「直帰率が下がった」と回答:49%
- 最も効果を感じた改善策は「画像の最適化」が最多:41%
【調査概要】2025年3〜5月実施 / 対象:ホームページを持つ個人事業主・中小企業 / 方法:オンラインアンケート / 当社支援先・自主応募を対象とした独自集計
Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とは
Core Web Vitalsとは、Googleが定めたページ体験を測る3つの指標のことです。難しそうに聞こえますが、意味していることはシンプルです。
- LCP(Largest Contentful Paint):ページの主要なコンテンツが表示されるまでの時間。2.5秒以内が良好の目安
- INP(Interaction to Next Paint):ボタンを押すなどの操作に対する反応の速さ。200ミリ秒以内が良好の目安
- CLS(Cumulative Layout Shift):表示中にレイアウトがガタつかないかの指標。読み込み中にボタンの位置がずれるようなサイトは要注意
要するに「速く表示され、すぐ反応し、ガタつかない」ことが良いページ体験だということです。3つの数値はこのあと紹介するPageSpeed Insightsでまとめて確認できるため、指標の名前を暗記する必要はありません。
まずは現状を測定する|PageSpeed Insightsの使い方

改善の前に、必ず現状を測定しましょう。Googleが無料で提供する「PageSpeed Insights」に自社サイトのURLを入力するだけで、モバイル・PCそれぞれのスコアと、Core Web Vitalsの数値、改善すべき項目の一覧が表示されます。このとき重要なのは、トップページだけでなく、アクセスの多いページや問い合わせにつながる重要なページも測定することです。測定結果はスクリーンショットなどで保存しておくと、改善後の比較に使えます。
方法1:画像の最適化|最も効果が出やすい定番の改善
表示速度を遅くする原因として最も多いのが、重すぎる画像です。スマホで撮影した写真をそのままアップロードすると、1枚で数MBになることも珍しくありません。対策は3つです。第一に、表示サイズに合わせて画像の縦横サイズを縮小すること。第二に、圧縮ツール(TinyPNGなど)やWordPressの圧縮プラグインでファイルサイズを減らすこと。第三に、可能であればWebPなどの軽量な画像形式を使うことです。既存の画像をまとめて圧縮するだけでも、スコアが大きく改善するケースは多くあります。
方法2:キャッシュの活用|2回目以降の表示を速くする
キャッシュとは、一度表示したページのデータをブラウザやサーバーに一時保存しておき、次回以降の表示を速くする仕組みです。WordPressサイトであれば、キャッシュ系プラグインを導入するだけで体感速度が改善することがあります。また、多くのレンタルサーバーには標準でサーバー側のキャッシュ機能が用意されているため、サーバーの管理画面を一度確認してみましょう。設定を有効にするだけなら数分で終わります。
方法3:使っていないプラグイン・スクリプトを減らす
WordPressサイトでありがちなのが、使っていないプラグインが大量に有効化されたままになっているケースです。プラグインはそれぞれ独自のCSSやJavaScriptを読み込むことが多く、数が増えるほどページは重くなります。「とりあえず入れたが使っていない」プラグインは停止・削除しましょう。同様に、使っていない解析タグやSNSの埋め込みウィジェットなども見直しの対象です。機能を減らすことに不安があるかもしれませんが、「本当に使っているもの」だけを残すのが原則です。
方法4:サーバー・ホスティングの見直し
画像やプラグインを最適化しても遅い場合、サーバー自体の性能がボトルネックになっている可能性があります。特に月数百円程度の格安プランを長年使い続けている場合、最新の高速なプランに変えるだけで大きく改善することがあります。多くのレンタルサーバー会社は上位プランへの変更や新サーバーへの移行手段を用意しているため、まずは現在の契約内容を確認してみましょう。サーバー移転は技術的な難易度が高いため、不安であればプロに任せることも検討してください。
方法5:ファーストビューを軽くする
訪問者が最初に目にする画面(ファーストビュー)に、巨大なスライダーや動画を配置しているサイトは要注意です。見栄えは良くても、読み込みに時間がかかれば本末転倒です。スライダーは本当に必要か、静止画1枚に置き換えられないか、動画は訪問者の操作後に再生する形にできないか——ファーストビューに置く要素を厳選することは、体感速度の改善に直結します。特にLCPの数値が悪い場合は、まずファーストビューの要素を疑いましょう。
方法6:CDNの活用|画像や動画が多いサイトに
CDN(Content Delivery Network)とは、世界各地に分散したサーバーからコンテンツを配信することで、表示を高速化する仕組みです。無料から使えるサービスもあり、画像・動画が多いサイトや、アクセスが集中する時間帯があるサイトでは効果を発揮します。ただし、小規模なサイトでは導入効果が体感しにくいこともあるため、優先度としては方法1〜5を先に済ませてからで十分です。
方法7:定期的に計測し、速度を維持する
表示速度は一度改善して終わりではありません。記事や画像が増え、プラグインを追加するうちに、サイトは自然と重くなっていきます。四半期に一度など頻度を決めてPageSpeed Insightsで再測定し、スコアが落ちていないかを確認する習慣を持ちましょう。数値の推移を記録しておけば、「何を追加したときに遅くなったか」の特定も容易になります。
7つの方法の優先順位まとめ
| 優先度 | 改善方法 | 難易度 | 期待できる効果 |
|---|---|---|---|
| 1 | 画像の最適化 | 低 | 大 |
| 2 | キャッシュの活用 | 低 | 中〜大 |
| 3 | プラグイン・スクリプト削減 | 低〜中 | 中 |
| 4 | ファーストビューの軽量化 | 中 | 中〜大 |
| 5 | サーバーの見直し | 中〜高 | 大 |
| 6 | CDNの活用 | 中 | サイトによる |
| 7 | 定期的な計測・維持 | 低 | 継続効果 |
迷ったら、まず画像の最適化とキャッシュの活用から始めてください。この2つは難易度が低いわりに効果が大きく、専門知識がなくても管理画面の操作だけで完結することがほとんどです。
📊 SOTEROS調査|速度改善に取り組んだ事業者の結果(同調査・速度改善経験者37社の内訳、n=61)
- PageSpeed Insightsのスコアが20点以上改善:46%
- 改善にかけた費用は「無料(自分で対応)」が最多:52%
- 改善作業にかかった時間は「1日以内」が最多:43%
- 「もっと早くやればよかった」と回答:67%
【調査概要】2025年3〜5月実施 / 方法:オンラインアンケート / 当社支援先・自主応募を対象とした独自集計
速度改善でやりがちな失敗
速度改善に取り組む際は、次の失敗パターンに注意してください。1つ目は、スコアの満点を追い求めすぎることです。PageSpeed Insightsのスコアはあくまで参考値であり、90点台を目指して膨大な時間を費やすより、明らかな問題を潰して次の改善テーマに進むほうが事業への効果は大きくなります。2つ目は、バックアップを取らずにプラグインの削除やサーバー設定の変更を行うことです。万一の表示崩れに備え、変更前には必ずバックアップを取りましょう。3つ目は、PC表示だけで確認して満足してしまうことです。訪問者の多数派はスマホであり、測定も改善もモバイルを基準に考える必要があります。
モバイルの表示速度は特に重要
PageSpeed Insightsのスコアは、多くの場合PCよりモバイルのほうが低く出ます。モバイル回線はWi-Fiより不安定なことが多く、端末の性能もPCより限られるためです。そして前述のとおり、訪問者の多数派はスマホユーザーです。表示速度の改善は、必ずモバイルのスコアを基準に進めてください。なお、速度以外のスマホ対応——文字サイズやボタンの押しやすさなど——についてはホームページのモバイル対応6つのチェックポイントで詳しく解説しています。
改善の効果を数字で確認する
速度改善の仕上げは効果確認です。PageSpeed Insightsのスコア変化に加えて、GA4などのアクセス解析で直帰率やエンゲージメント時間、問い合わせ数の変化を確認しましょう。「スコアは上がったが行動は変わらない」場合もあれば、「スコアの改善は小さいのに問い合わせが増えた」場合もあります。最終的な判断基準はスコアではなく、訪問者の行動の変化です。数字の見方に自信がない方はアクセス解析でサイト改善サイクルを回す5つのステップから始めてみてください。
まとめ|表示速度はサイト改善の第一歩
表示速度の改善は、訪問者の離脱を減らし、SEOにも良い影響を与える、費用対効果の高いサイト改善です。まずはPageSpeed Insightsで現状を測定し、画像の最適化とキャッシュの活用という「効果の大きい定番」から着手しましょう。それでも改善しない場合は、プラグインの整理・ファーストビューの軽量化・サーバーの見直しへと段階的に進めていけば、遠回りせずに成果へたどり着けます。
よくある質問
Q. 表示速度はどのくらいを目指せばいいですか?
A. PageSpeed Insightsのスコアで言えば、モバイルで50点以上をまず目指し、余裕があれば70点以上を目標にするとよいでしょう。体感としては「主要なコンテンツが2〜3秒以内に表示される」状態が一つの目安です。満点を追い求める必要はなく、明らかな問題を潰すことを優先しましょう。
Q. 表示速度を改善するとSEOにも効果がありますか?
A. はい、あります。GoogleはCore Web Vitalsを含むページ体験を検索順位の評価要素に取り入れています。ただし速度だけで順位が大きく動くわけではなく、コンテンツの質が前提です。速度改善は「良いコンテンツの評価を妨げる足かせを外す」ものと考えるのが適切です。
Q. 専門知識がなくてもできる速度改善はありますか?
A. 画像の圧縮・リサイズが最も取り組みやすく、効果も大きい改善です。WordPressであればキャッシュ系プラグインや画像圧縮プラグインの導入も、管理画面の操作だけで完結します。一方、サーバー移転やコードの修正が必要な場合は、無理せず制作会社などプロへの相談を検討しましょう。
Q. 速度改善の効果はどうやって確認すればいいですか?
A. 改善の前後でPageSpeed Insightsのスコアと、GA4の直帰・エンゲージメント関連の数値を比較するのが基本です。測定は同じ時間帯・同じページで行うと比較しやすくなります。アクセス解析の見方はアクセス解析でサイト改善サイクルを回す方法で解説しています。
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