フリーランス・個人事業主にとって「集客」は繰り返し語られるテーマですが、一人ひとりが実際にどれだけの時間と手間をかけ、どのくらい新規の仕事を獲得できているのかを示したデータは多くありません。イメージや体験談は豊富でも、数字は不足しています。
伴走型の集客コンサルティングを行うSOTEROS(ソテロス)は、2026年8月、フリーランス・個人事業主86名を対象に「集客実態調査」を実施しました。この記事では、86名分の回答を数字のまま紹介し、そこから見えるフリーランス集客の課題と、いま取るべき打ち手を整理します。
この調査でわかったこと(3つのポイント)
- 新規獲得ゼロが61.6%、それでも「特に悩みはない」が最多(58.1%)。獲得件数の少なさは、必ずしも本人の課題意識と結びついていない。
- 8割が集客に時間も費用もかけていない(いずれも81.4%)。週1時間以上を集客に充てている層(16名)では、新規獲得ゼロは31.2%にとどまった(全体は61.6%)。
- 回答者の80.2%が50歳以上。政府調査(令和4年度フリーランス実態調査、2,119名)の81.0%とほぼ一致し、フリーランスが若年層中心の働き方ではないことを裏づけている。
以下、それぞれを数字で見ていきます。
調査の概要
📊 フリーランスの集客実態調査(SOTEROS/2026年8月)
- 調査対象:フリーランス・個人事業主として働いていると回答した方
- 有効回答数:86名(回答総数100名のうちスクリーニング該当者を集計)
- 調査方法:セルフ型アンケートツール「Freeasy」によるインターネット調査
- 調査期間:2026年8月24日
【調査概要】調査主体:SOTEROS / 調査方法:インターネット調査(セルフ型アンケートツール「Freeasy」/アイブリッジ株式会社) / 調査対象:スクリーニング設問で「フリーランス・個人事業主として働いている」と回答した方 / 有効回答数:86名(回答総数100名のうち該当者86名を集計) / 調査期間:2026年8月24日 / 設問数:本調査10問(うち本記事で扱うのは7問。「その他」回答が半数前後を占め選択肢設計に課題のあった3問は参考掲載)
フリーランスの就業実態については政府による大規模調査がありますが、その主眼は取引条件・報酬・契約の適正化にあり、「案件をどう獲得しているか」「集客にどれだけの時間と費用を投じているか」という集客・営業活動の実態は測られていません。この空白を埋めるため、集客活動そのものに絞って質問しました。
発見1|新規獲得ゼロが61.6%、それでも「悩みはない」が最多

直近1ヶ月の新規案件・新規顧客の獲得件数は、「0件」が61.6%(53名)で最多でした。
| 新規獲得件数 | 割合(人数) |
|---|---|
| 0件 | 61.6%(53名) |
| 1〜2件 | 23.3%(20名) |
| 3〜5件 | 11.6%(10名) |
| 6件以上 | 3.5%(3名) |
一方、「集客・営業活動で最も悩んでいること」を尋ねると、最多は「特に悩みはない」で58.1%(50名)。次いで「案件が安定しない」17.4%(15名)、「単価が上がらない」「効果が実感できない」が各5.8%(各5名)、「何から始めればいいかわからない」4.7%(4名)でした。
新規獲得が0件だった53名にしぼっても、「特に悩みはない」は64.2%(34名)を占めます。「獲得できていない」ことと「困っている」ことは、必ずしもセットではありません。
ただし注意も必要です。「特に悩みはない」の比率は新規獲得があった層(33名)でも48.5%あり、0件層の64.2%との差は統計的に有意ではありません(フィッシャーの正確検定 p=0.181)。「獲得できていない人ほど悩んでいない」とまではこのデータからは言えません。事実として押さえるべきは、獲得件数にかかわらず、フリーランスの半数以上が集客に問題意識を持っていないという水準感です。
活動年数は「10年以上」が75.6%(65名)。長く続けてきた人ほど、少ない新規獲得でも成り立つ状態——継続案件や既存顧客中心の働き方——ができている可能性があります。本調査では売上や継続案件の有無を聞いていないため、ここは推測にとどまります。
発見2|フリーランスの8割は集客に「時間も費用もかけていない」
集客活動(SNS運用・営業・発信など)に1週間あたりどれくらいの時間を使っているか尋ねたところ、「ほとんど使っていない」が81.4%(70名)。月あたりの集客費用も「かけていない」が81.4%(70名)でした。
| 設問 | 最多回答 | 2番目 |
|---|---|---|
| 週あたりの集客時間 | ほとんど使っていない 81.4%(70名) | 1〜3時間未満/3〜5時間未満 各8.1% |
| 月あたりの集客費用 | かけていない 81.4%(70名) | 〜5,000円未満 12.8% |
週5時間以上を集客に充てている人は2名、月2万円以上をかけている人は3名にとどまります。そして、活動量と獲得件数は同じ方向に並んでいました。

- 集客に週1時間以上を充てている層(16名):新規獲得ゼロは31.2%
- 集客にほとんど時間を使っていない層(70名):新規獲得ゼロは68.6%
この差はフィッシャーの正確検定で p=0.009 と有意です。さらに、新規獲得ゼロだった53名のうち90.6%(48名)が、集客に「ほとんど時間を使っていない」と回答しています。
因果の向きは断定できません(獲得できないから時間をかけないのか、時間をかけないから獲得できないのか)。ただ、「集客に手をつけていない層」と「新規が増えていない層」がほぼ重なっていることは、86名のデータではっきり見えています。なお「週1時間以上」の群は16名と少数で、31.2%という割合そのものの精度は高くありません。差の方向は支持されますが、数字を厳密に扱いすぎないでください。
発見3|フリーランスの8割は50歳以上——政府調査とほぼ一致
回答者の年代は、60代30.2%(26名)、50代25.6%(22名)、70代以上24.4%(21名)、40代18.6%(16名)、40歳未満1.2%(1名)。50歳以上が80.2%(69名)を占め、平均年齢は61.0歳(最年少36歳・最年長80歳)でした。

これは偏ったサンプルというより、フリーランスの実態に近い構成です。
| 年代 | 本調査(n=86) | 令和4年度フリーランス実態調査(n=2,119) |
|---|---|---|
| 40歳未満 | 1.2% | 4.5% |
| 40代 | 18.6% | 14.4% |
| 50代 | 25.6% | 37.5% |
| 60代 | 30.2% | 31.6% |
| 70代以上 | 24.4% | 11.9% |
| 50歳以上(計) | 80.2% | 81.0% |
「フリーランス=若い人の働き方」というイメージが先行しがちですが、政府調査でも本調査でも、実際は50代以上が8割です。集客の打ち手を考えるときも、この年齢層が中心にいる前提で組み立てる必要があります。
同じ政府調査では、仕事の獲得経路として「依頼者から直接、または知り合い・紹介者を介した紹介」が58.9%で最多(複数回答)、仲介事業者を利用していない人が78.7%でした。既存の関係性を通じた獲得が中心という点は、本調査の結果とも重なります。
使っているチャネルと、成果が出ているチャネル
現在活用しているチャネル(複数回答)と、実際に最も成果につながっているチャネル(単一回答)も尋ねました。ただしこの2問は「その他」の回答が半数前後(活用53.5%/成果51.2%)にのぼり、選択肢の設計が回答者の実態を十分に捉えられていません。順位を強く主張する材料にはしない前提で、参考値として掲載します。
| チャネル | 活用している(複数回答) | 最も成果が出ている(単一回答) |
|---|---|---|
| 紹介・口コミ | 30.2% | 25.6% |
| 自社ホームページ・ブログ | 14.0% | 10.5% |
| SNS(X・Instagram等) | 10.5% | 2.3% |
| クラウドソーシング | 5.8% | 4.7% |
| エージェント・仲介会社 | 5.8% | 3.5% |
※「その他」を除いた比較。「その他」を除いた実質1位は、いずれも紹介・口コミです。「今後、最も力を入れて強化したいチャネル」でも「その他」を除くと紹介・口コミが25.6%で最多でした。多くのフリーランスにとって、集客の中心も、これから伸ばしたい先も「紹介」だという構図が見えます。
対照的なのがSNSです。活用10.5%に対し成果実感は2.3%——やってはいるが成果につながっている実感は薄いチャネルでした。SNS集客の考え方はSNS集客完全ガイドで解説しています。
調査から見えるフリーランス集客の3つの課題
課題1:やり方がわからないのではなく、手をつけていない
「何から始めればいいかわからない」は4.7%にとどまり、悩みの最多は「特に悩みはない」でした。一方で81.4%が集客にほとんど時間をかけていません。フリーランス集客の入口は「知識不足」より「着手不足」にあります。
課題2:紹介依存のリスクが見えにくい
成果チャネルの実質1位は紹介・口コミ。紹介中心で仕事がまわっているうちは問題が表面化しませんが、紹介は自分でコントロールしづらく、体調・取引先の都合・景気で細ります。細ってから動き出すのでは立ち上がりに時間がかかります。口コミ・紹介集客の基本もあわせてご覧ください。
課題3:担い手は50代以上が中心
回答者の8割が50歳以上、活動年数10年以上が75.6%。若年層向けのノウハウ(短尺動画の量産など)をそのまま当てはめても機能しにくく、これまでの信頼と実績を生かした集客設計が現実的です。
数字を踏まえて、まず何をすべきか
本調査の「週1時間でも集客に時間を割く層は獲得率が高い」という結果を踏まえると、負担を抑えつつ着手することが第一歩です。
- 既存顧客・知人への近況連絡を月1回。最も成果の出ている「紹介」を、待つのではなく能動的に動かす。
- 実績を言語化して1ページにまとめる。「何を・誰に・どんな成果で提供したか」を紹介や問い合わせ時に渡せる形にする。
- 問い合わせ導線を1本整える。ホームページやSNSプロフィールから、迷わず連絡できる状態にする。
- 集客の時間を「週1時間」だけ固定する。曜日と時間を決めて予定に入れ、実績更新・発信・連絡のどれかに充てる。
- 紹介以外の経路を1つだけ試す。ホームページ・ブログなど、自分の資産になる経路を候補に。SNSは労力対効果を見ながら。
- 1ヶ月ごとに新規獲得件数だけ記録する。数字を見る習慣が、次の打ち手の判断材料になる。
各ステップの具体的な進め方は、以下のテーマ別ガイドで解説します。
テーマ別に深掘りする(実践ガイド一覧)
本調査の結果をテーマ別に掘り下げたシリーズ記事を、順次公開していきます。まずはフリーランス集客の基本を、以下の記事で確認してください。
基礎
フリーランスの集客方法|完全ガイド
集客の全体像と始め方をまず押さえる
紹介・口コミ
口コミ・紹介集客の基本
成果チャネル1位「紹介」を能動的に増やす
SNS
SNS集客完全ガイド
労力対効果を見極めて使うための考え方
ホームページ
フリーランスにホームページは必要?
自分の資産になる集客経路のつくり方
はじめの一歩
フリーランスが初案件を獲得する方法
実績がない段階からの動き方
調査の留意点
- 有効回答は86名です。全体の比率には約±10ポイントの標本誤差が伴います(例:「0件」61.6%の95%信頼区間は51.1%〜71.2%)。本文の数値は小数第1位まで記載していますが、その精度で解釈できるものではありません。
- 年齢構成は政府調査とおおむね整合しますが、60歳以上の比率は本調査54.7%に対し政府調査43.5%とより高く、活動年数「10年以上」が75.6%を占めるなど、長期継続層に偏っています。
- 活用チャネル・成果チャネル・強化したいチャネルの3問は「その他」が半数前後を占め、順位の主張には使えません。
- 売上・継続案件・稼働率は尋ねていないため、「新規獲得ゼロ=苦戦」とは断定できません。
調査データの引用について
本調査のデータは、出典として「SOTEROS 調査(フリーランスの集客実態調査、2026年8月)」と本ページへのリンクを明記いただければ、記事・資料等でご引用いただけます。グラフ画像の利用や、追加集計に関するお問い合わせはお問い合わせフォームからご連絡ください。
よくある質問
Q. この調査の対象は何人ですか?
A. スクリーニング設問で「フリーランス・個人事業主として働いている」と回答した86名です。回答総数は100名で、そのうち該当者86名を集計対象としています。2026年8月24日に、セルフ型アンケートツール「Freeasy」を用いたインターネット調査で実施しました。
Q. 新規獲得が0件だった人が61.6%というのは、多いのでしょうか?
A. 比較できる同種の調査が少ないため「多い・少ない」を断定はできません。ただし本調査では、集客に週1時間以上かけている層では0件が31.2%にとどまり、ほとんど時間をかけていない層では68.6%でした。活動量によって大きく変わる数字です。
Q. なぜ回答者の年齢が高めなのですか?
A. これは本調査に特有の偏りではありません。政府の「令和4年度フリーランス実態調査」(2,119名)でも50歳以上が81.0%を占めており、本調査の80.2%とほぼ一致します。フリーランスは実際に50代以上が中心の働き方です。
Q. 集客に時間をかけていないフリーランスは、まず何から始めればいいですか?
A. 本調査では「週1時間」でも獲得率に差が出ています。まずは既存顧客・知人への近況連絡、実績の言語化、問い合わせ導線の整備など、時間をかけずにできることから始めるのが現実的です。詳しくはシリーズ記事で解説しています。
Q. 調査データを自社サイトや記事で引用してもいいですか?
A. はい。出典として「SOTEROS 調査」と本ページへのリンクを明記いただければ引用いただけます。グラフ画像の利用をご希望の場合はお問い合わせください。
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