この記事は【独自調査】フリーランス86人の集客実態のシリーズ記事です。本記事は、その結果を「集客に使う時間」という角度から深掘りしています。
「集客がうまくいっていない」と感じているフリーランス・個人事業主は多いですが、その原因を「時間」という切り口で数字にした調査は多くありません。SOTEROSが実施した「フリーランスの集客実態調査」(有効回答86名)では、新規獲得件数と集客に使う時間をクロスさせたところ、はっきりとした差が見えました。
この記事では、直近1ヶ月の新規獲得が「0件」だった人に絞り込み、その人たちが集客にどれだけ時間を使っていたかを詳しく見ていきます。
この記事の3つのポイント
- 新規獲得が0件だった53名のうち90.6%が、集客に「ほとんど時間を使っていない」と回答。着手不足と結果が強く結びついている。
- 集客に週1時間以上を充てている層(16名)では0件率が31.2%。ほとんど時間を使っていない層(70名)の68.6%と比べ、37ポイントの差がある。
- この差はフィッシャーの正確検定でp=0.009と統計的に有意。ただし因果の向きは断定できず、サンプルの小さい群(16名)の数値は精度に限界がある。
新規獲得ゼロの53人に共通していたこと
まず、直近1ヶ月の新規案件・新規顧客の獲得件数を確認します。
| 新規獲得件数 | 割合(人数) |
|---|---|
| 0件 | 61.6%(53名) |
| 1〜2件 | 23.3%(20名) |
| 3〜5件 | 11.6%(10名) |
| 6件以上 | 3.5%(3名) |
86名のうち53名(61.6%)が「0件」でした。この53名が集客にどれだけ時間を使っていたかをクロス集計すると、次のような結果になりました。
| 週あたりの集客時間 | 獲得0件層(n=53) | 獲得1件以上層(n=33) |
|---|---|---|
| ほとんど使っていない | 90.6%(48名) | 66.7%(22名) |
| 1〜3時間未満 | 7.5%(4名) | 9.1%(3名) |
| 3〜5時間未満 | 1.9%(1名) | 18.2%(6名) |
| 5時間以上 | 0.0%(0名) | 6.1%(2名) |
新規獲得ゼロだった53名の90.6%が、集客に「ほとんど時間を使っていない」と回答しています。一方、1件以上獲得できていた33名でも「ほとんど使っていない」は66.7%を占めており、時間をかけていれば必ず獲得できるという単純な話ではありません。ただし、3〜5時間未満・5時間以上を使っている層の割合は、獲得ありグループの方が明確に高くなっています。
週1時間の壁|集客時間で0件率が37pt変わる

視点を変えて、「集客時間で2グループに分けたときの0件率」を見てみます。「週1時間以上」を使っている16名と、「ほとんど使っていない」70名を比較しました。
- 集客に週1時間以上を充てている層(16名):新規獲得ゼロは31.2%
- 集客にほとんど時間を使っていない層(70名):新規獲得ゼロは68.6%
その差は37ポイントです。それぞれの群の中で、新規獲得件数がどう分布しているかも見ておきます。
| 新規獲得件数 | 週1時間以上(n=16) | ほとんど使っていない(n=70) |
|---|---|---|
| 0件 | 31.2%(5名) | 68.6%(48名) |
| 1〜2件 | 43.8%(7名) | 18.6%(13名) |
| 3〜5件 | 18.8%(3名) | 10.0%(7名) |
| 6件以上 | 6.2%(1名) | 2.8%(2名) |
週1時間以上のグループは「1〜2件」が最多(43.8%)で、0件はむしろ少数派です。対照的に、ほとんど時間を使っていないグループは「0件」が7割近くを占めます。この差はフィッシャーの正確検定でp=0.009となり、統計的に有意です(一般に p<0.05 であれば「偶然の差ではない」と判断されます)。
この37ptの差をどう読むか(統計的な注意点)
この結果を紹介する際は、2つの注意点をセットで伝える必要があります。
- 因果の向きは特定できません。「時間をかけないから獲得できない」のか、「獲得できないから時間をかける気力がない」のか、本調査の設計ではどちらとも言えます。ただ、どちらの向きであっても、「集客に手をつけていない層」と「新規が増えていない層」がほぼ重なっているという実態そのものは変わりません。
- 「週1時間以上」の群は16名と少数です。31.2%という割合自体の精度は高くなく、標本誤差の影響を受けやすい数字です。差の「方向」は統計的に支持されますが、「31.2%」という数字を厳密に扱いすぎないよう注意してください。
それでも、86名という小さくないサンプルの中で、時間をかけている人とかけていない人の獲得率にこれだけの差が出たことは、集客において「時間を確保すること」自体に意味があることを示しています。
「集客にほとんど時間を使っていない」とは、具体的にどれくらいか
そもそも「ほとんど使っていない」がどれくらいの割合を占めるのかを、86名全体で確認しておきます。
| 週あたりの集客時間 | 割合(人数) |
|---|---|
| ほとんど使っていない | 81.4%(70名) |
| 1〜3時間未満 | 8.1%(7名) |
| 3〜5時間未満 | 8.1%(7名) |
| 5〜10時間未満 | 1.2%(1名) |
| 10時間以上 | 1.2%(1名) |
週5時間以上を集客に充てている人は、86名中わずか2名です。「時間がない」と感じているフリーランスは多いですが、実際には8割が集客にほとんど時間を割いていない状態にあります。集客にかける費用も同様の傾向で、月の費用を「かけていない」人が同じく81.4%(70名)でした。時間と費用の両方をかけていない人が、集客活動そのものにまだ着手していない層と言えそうです。
時間をかけない理由は「わからない」からではなく「悩みがない」から
では、なぜ8割ものフリーランスが集客にほとんど時間を割いていないのでしょうか。「集客・営業活動で最も悩んでいること」を尋ねた設問を見ると、ヒントがあります。最多は「特に悩みはない」で58.1%(50名)。「何から始めればいいかわからない」はわずか4.7%(4名)でした。
新規獲得ゼロだった53名に絞っても、「特に悩みはない」は64.2%(34名)で最多です。一方、1件以上獲得できていた33名でも「特に悩みはない」は48.5%(16名)あり、この2つの差はフィッシャーの正確検定でp=0.181——統計的には有意ではありません。「獲得できていない人ほど悩んでいない」とまでは、このデータからは言えません。
事実として押さえるべきは、獲得件数にかかわらず、フリーランスの半数以上が集客に強い問題意識を持っていないという水準感です。「やり方がわからない」から手をつけていないのではなく、そもそも「困っていない」という感覚が、着手そのものを後回しにさせている可能性があります。紹介や既存顧客中心で当面は仕事が途切れていない人ほど、この傾向は強くなりやすいでしょう。
今日からできる、週1時間の使い方
本調査が示すのは、「大きく時間を割く」ことよりも「ゼロから1時間に変える」ことの差の大きさです。負担の小さいものから、週1時間の枠に当てはめてみてください。
- 既存顧客・知人への近況連絡(月1回):紹介・口コミは本調査でも成果チャネルの上位。待つのではなく能動的に連絡する時間に充てる。
- 実績の言語化(1回だけ):「何を・誰に・どんな成果で提供したか」を1ページにまとめておくと、紹介や問い合わせ時にそのまま渡せる。
- 問い合わせ導線の確認(1回だけ):ホームページやSNSプロフィールから迷わず連絡できる状態になっているか、自分で確認する。
- 曜日と時間を固定する:「毎週◯曜日の◯時から1時間」と予定に入れてしまうことが、最初の継続のコツ。
フリーランス集客の全体像や、紹介以外の経路の作り方はフリーランスの集客方法|完全ガイドで詳しく解説しています。
調査の留意点
- 有効回答は86名です。全体の比率には約±10ポイントの標本誤差が伴います。本文の数値は小数第1位まで記載していますが、その精度で解釈できるものではありません。
- 「週1時間以上」の群は16名と少数のため、31.2%という数値自体の精度には限界があります。統計的に支持されるのは「差の方向」です。
- 売上・継続案件・稼働率は尋ねていないため、「時間をかければ売上が上がる」とまでは本調査から言えません。
- 獲得件数と時間の相関は確認できましたが、因果関係(どちらが先か)は特定できません。
調査概要
📊 フリーランスの集客実態調査(SOTEROS/2026年8月)
- 調査対象:フリーランス・個人事業主として働いていると回答した方
- 有効回答数:86名(回答総数100名のうちスクリーニング該当者を集計)
- 調査方法:セルフ型アンケートツール「Freeasy」によるインターネット調査
- 調査期間:2026年8月24日
【調査概要】調査主体:SOTEROS / 調査方法:インターネット調査(セルフ型アンケートツール「Freeasy」/アイブリッジ株式会社) / 調査対象:スクリーニング設問で「フリーランス・個人事業主として働いている」と回答した方 / 有効回答数:86名(回答総数100名のうち該当者86名を集計) / 調査期間:2026年8月24日
本記事は、フリーランス・個人事業主86名を対象にした調査の一部を深掘りしたものです。設問全体の結果・年齢構成・政府統計との比較など、調査の全体像は調査レポート本体でご覧いただけます。
データの引用は、出典として「SOTEROS 調査(フリーランスの集客実態調査、2026年8月)」と本ページへのリンクを明記いただければ可能です。
よくある質問
Q. 新規獲得が0件の人は、本当に「時間をかけていない」だけが原因ですか?
A. 断定はできません。本調査では、集客に時間をかけている層ほど新規獲得ゼロの割合が低いという相関が確認できました(フィッシャーの正確検定 p=0.009)。ただし「獲得できないから時間をかけられない」のか「時間をかけないから獲得できない」のか、因果の向きまでは特定できません。確かなのは、「集客に手をつけていない層」と「新規が増えていない層」がほぼ重なっている、という実態です。
Q. 「週1時間」で本当に効果はあるのですか?
A. 本調査では、週1時間以上を集客に充てている16名で新規獲得ゼロが31.2%、ほとんど時間を使っていない70名で68.6%でした。16名という少数のデータであり、31.2%という数値自体の精度には限界がありますが、差の方向はフィッシャーの正確検定で統計的に有意(p=0.009)です。
Q. p=0.009とはどういう意味ですか?
A. フィッシャーの正確検定という統計手法で得られた値で、「2つのグループの差が偶然によって生じた可能性」を示します。一般に0.05未満であれば統計的に有意とされ、本調査のp=0.009は偶然では説明しにくい差であることを意味します。
Q. 集客に時間をかけられない場合、何から始めればいいですか?
A. 本調査の結果を踏まえると、まず週1時間だけでも固定で確保することが現実的な第一歩です。既存顧客・知人への近況連絡、実績の言語化、問い合わせ導線の整備など、負担の小さいものから着手するのがおすすめです。
Q. このデータの調査対象・方法を教えてください。
A. 2026年8月24日に実施した、フリーランス・個人事業主86名を対象にした調査(セルフ型アンケートツール「Freeasy」)に基づいています。調査全体の結果は調査レポート本体でご確認いただけます。
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