この記事は【独自調査】フリーランス86人の集客実態のシリーズ記事です。本記事は、その結果を「集客チャネル」という切り口で深掘りしています。
「紹介・口コミがあれば集客は安泰」——フリーランスの間でよく聞かれる考え方ですが、実際のデータはそう単純ではありません。SOTEROSが実施した「フリーランスの集客実態調査」(有効回答86名)では、成果につながっているチャネルの実質1位はたしかに紹介・口コミでした。しかし同時に、新規獲得が0件だった人の中にも、紹介・口コミを活用している人が一定数含まれていました。
この記事では、フリーランスが実際に使っているチャネルと成果が出ているチャネルの実態を数字で確認したうえで、「紹介1位」という結果をどう受け止めるべきかを整理します。
この記事の3つのポイント
- 活用しているチャネル・成果が出ているチャネルとも、「その他」を除く実質1位は紹介・口コミ。活用30.2%、成果25.6%で他チャネルを上回る。
- ただし新規獲得ゼロだった53名のうち26.4%(14名)も紹介・口コミを活用チャネルに挙げている。紹介を使っていること自体は、新規獲得を保証しない。
- 政府調査でも仕事の獲得経路の1位は「紹介」で58.9%。フリーランスの集客は構造的に人的ネットワークへの依存度が高い。
使っているチャネル・成果が出ているチャネル

現在活用しているチャネル(複数回答)と、実際に最も成果につながっているチャネル(単一回答)を尋ねました。まず活用状況です。
| チャネル | 活用している(複数回答、n=86) |
|---|---|
| その他 | 53.5%(46名) |
| 紹介・口コミ | 30.2%(26名) |
| 自社ホームページ・ブログ | 14.0%(12名) |
| SNS(X・Instagram等) | 10.5%(9名) |
| クラウドソーシング | 5.8%(5名) |
| エージェント・仲介会社 | 5.8%(5名) |
| Web広告 | 3.5%(3名) |
| ポートフォリオサイト | 0.0%(0名) |
次に、実際に最も成果につながっているチャネル(単一回答)です。
| チャネル | 最も成果が出ている(単一回答、n=86) |
|---|---|
| その他 | 51.2%(44名) |
| 紹介・口コミ | 25.6%(22名) |
| 自社ホームページ・ブログ | 10.5%(9名) |
| クラウドソーシング | 4.7%(4名) |
| エージェント・仲介会社 | 3.5%(3名) |
| SNS(X・Instagram等) | 2.3%(2名) |
| Web広告 | 2.3%(2名) |
両設問とも「その他」が半数前後(活用53.5%/成果51.2%)を占めており、選択肢の設計が回答者の実態を十分に捉えられていません。この2問だけで順位を強く主張することはできませんが、「その他」を除いた名称ありのチャネルの中では、活用・成果のいずれも紹介・口コミが最多という点は明確です。
今後強化したいチャネルも、やはり「紹介」
「今後、最も力を入れて強化したい集客チャネル」を尋ねた設問でも、同じ傾向が見られます。
| チャネル | 今後強化したい(単一回答、n=86) |
|---|---|
| その他 | 46.5%(40名) |
| 紹介・口コミ | 25.6%(22名) |
| 自社ホームページ・ブログ | 8.1%(7名) |
| SNS(X・Instagram等) | 7.0%(6名) |
| AIを活用した効率化 | 7.0%(6名) |
| クラウドソーシング | 3.5%(3名) |
| エージェント・仲介会社 | 2.3%(2名) |
活用している・成果が出ている・今後伸ばしたい——3つの設問すべてで、名称のあるチャネルの中では紹介・口コミが最多でした。多くのフリーランスにとって、集客の中心も、これから力を入れたい先も「紹介」だという構図が一貫しています。
「紹介1位」なのに、新規獲得ゼロの人が半数以上いる
ここからが本題です。紹介・口コミが実質1位という結果だけを見ると、「紹介さえあれば集客は安心」と考えたくなります。しかし、新規獲得が0件だった53名に絞って活用チャネルを確認すると、次のような結果でした。
| 活用チャネル | 獲得0件層(n=53) |
|---|---|
| その他 | 64.2%(34名) |
| 紹介・口コミ | 26.4%(14名) |
| 自社ホームページ・ブログ | 5.7%(3名) |
| SNS(X・Instagram等) | 3.8%(2名) |
| エージェント・仲介会社 | 3.8%(2名) |
| クラウドソーシング | 1.9%(1名) |
| Web広告 | 1.9%(1名) |
新規獲得がゼロだった53名のうち、26.4%(14名)は紹介・口コミを活用チャネルとして挙げています。「紹介・口コミを使っている」ことと「新規が獲得できている」ことは、必ずしもイコールではありません。紹介は成果につながりやすいチャネルではあるものの、紹介を待っているだけでは新規獲得ゼロという結果も十分に起こり得る、という実態が見えます。
この14名という数字は、n=53という母数の中でも小規模です。傾向として読むにとどめ、厳密な比率として扱いすぎないよう注意してください。
対照的なのはSNS|使っているのに成果は薄い

チャネル間の差がもっとも際立つのはSNSです。活用している人は10.5%(9名)いる一方、実際に成果につながっていると回答した人はわずか2.3%(2名)でした。
「やってはいるが、成果につながっている実感は薄い」——これがSNSの現在地です。SNS自体に集客力がないというより、フォロワーとの関係構築や発信内容の設計に時間がかかるチャネルであるため、紹介・口コミのように既存の信頼関係からすぐに成果へつながりにくいと考えられます。
なぜ紹介に集中するのか|政府統計との比較
この「紹介への集中」は、本調査に限った傾向ではありません。内閣官房・公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁による「令和4年度フリーランス実態調査結果」(2,119名対象)でも、仕事の獲得経路として最も多かったのは「依頼者から直接、または知り合い・紹介者を介した紹介」で58.9%(複数回答)。仲介事業者を利用していない人は78.7%にのぼります。
本調査と政府調査は設問設計が異なるため数値をそのまま比較はできませんが、どちらも「紹介・既存の関係性」が中心という方向性は一致しています。フリーランスという働き方そのものが、広告や検索流入よりも人的ネットワークに依存しやすい構造にあると言えそうです。
紹介に集中しすぎないために、まずできること
紹介・口コミが有効なチャネルであること自体は間違いありません。問題は、紹介「だけ」に依存した状態です。紹介は自分でコントロールしづらく、取引先の状況や景気の変化で細ることがあります。細ってから動き出すのでは、立ち上がりに時間がかかります。
- 紹介を「待つ」から「増やす」に変える:既存顧客・知人への近況連絡を習慣化し、紹介が生まれる接点を自分から作る。
- 紹介の受け皿を整える:自社ホームページ・ブログは活用14.0%・成果10.5%と紹介に次ぐ規模。紹介された人が確認できる実績・料金の情報を用意しておく。
- 紹介以外に1つだけ手を広げる:クラウドソーシングやSNSなど、労力対効果を見ながら小さく試す経路を1つ持っておく。
紹介が細ったときのリスクと、集客を分散させる具体的な考え方は、今後公開予定のシリーズ記事で詳しく取り上げます。
調査の留意点
- 活用チャネル・成果チャネル・今後強化したいチャネルの3問はいずれも「その他」が46〜53%を占め、選択肢の設計に課題があります。順位の主張は「その他を除く実質1位」の範囲にとどめています。
- 新規獲得ゼロ層(n=53)における紹介・口コミ活用者は14名と少数のため、26.4%という数値の精度には限界があります。
- 活用チャネルは複数回答(MA)、成果・今後強化したいチャネルは単一回答(SA)のため、単純に数値を足し合わせて比較することはできません。
- 「その他」の具体的な内訳(どんなチャネルが選ばれなかったのか)は本調査では把握できていません。
調査概要
📊 フリーランスの集客実態調査(SOTEROS/2026年8月)
- 調査対象:フリーランス・個人事業主として働いていると回答した方
- 有効回答数:86名(回答総数100名のうちスクリーニング該当者を集計)
- 調査方法:セルフ型アンケートツール「Freeasy」によるインターネット調査
- 調査期間:2026年8月24日
【調査概要】調査主体:SOTEROS / 調査方法:インターネット調査(セルフ型アンケートツール「Freeasy」/アイブリッジ株式会社) / 調査対象:スクリーニング設問で「フリーランス・個人事業主として働いている」と回答した方 / 有効回答数:86名(回答総数100名のうち該当者86名を集計) / 調査期間:2026年8月24日
本記事は、フリーランス・個人事業主86名を対象にした調査の一部を深掘りしたものです。設問全体の結果・年齢構成・政府統計との比較など、調査の全体像は調査レポート本体でご覧いただけます。
データの引用は、出典として「SOTEROS 調査(フリーランスの集客実態調査、2026年8月)」と本ページへのリンクを明記いただければ可能です。
よくある質問
Q. 成果につながっているチャネルの1位は何ですか?
A. 「その他」を除くと紹介・口コミが25.6%(22名)で最多です。ただし「その他」の回答が51.2%(44名)を占めており、選択肢の設計が回答者の実態を十分に捉えられていない点には注意が必要です。
Q. 紹介・口コミを活用していれば新規は増えますか?
A. そうとは言えません。本調査では、新規獲得が0件だった53名のうち26.4%(14名)が紹介・口コミを活用チャネルとして挙げています。紹介を使っていること自体は、新規獲得を保証するものではありません。
Q. SNSでの集客は効果がありませんか?
A. 本調査では、SNSを活用している人は10.5%(9名)に対し、実際に成果につながっていると回答した人は2.3%(2名)にとどまりました。活用している人の割に成果実感が薄いチャネルという結果ですが、SNS自体の可能性を否定するものではなく、運用方法による差が大きいと考えられます。
Q. なぜフリーランスは紹介に頼りやすいのですか?
A. 政府の「令和4年度フリーランス実態調査」でも、仕事の獲得経路の1位は「依頼者から直接、または知り合い・紹介者を介した紹介」で58.9%、仲介事業者を利用していない人が78.7%でした。本調査とも傾向が一致しており、フリーランスの働き方自体が人的ネットワークに依存しやすい構造であることがうかがえます。
Q. 紹介以外のチャネルを増やすには何から始めればいいですか?
A. 自社ホームページ・ブログは活用14.0%・成果10.5%と、紹介に次ぐ規模で成果が出ているチャネルです。まずは実績や提供内容を言語化して掲載し、紹介を受けた人が内容を確認できる「受け皿」を整えることが現実的な一歩です。
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